レースドールQ&A

■ レースドールに関する質問 ■



①レースの部分は布のレースにコーティングしてあるのですか?
作り方をご覧下さい。
これはすべてがヤキモノですから、中にレース本体が残っていてコーティングしてあるものではありません。
成形段階では確かに、布のレースを使用します。レースに磁器の土(泥漿)を染み込ませて、窯で焼成するのです。その温度はあらゆる有機物を焼失させるような1200℃超。布のレースは焼成途中に、焼けてすす(煤)になり、焼成後はレースの文様そのままそっくりの形状磁器が残るのです。ですので、焼成後に布のレースは全くその場所に存在しません。不思議でしょう?
作品にさなざな風合いや形状を出すために、レースだけでなく燃えるものであれば何でも利用できると言えます。


②レースドールを飾る場合、直射日光は避けたほうがよいですか?
いえいえ、どうぞ『光りのよく当る場所』に置いて下さい。そして、磁器の透光性の美しさを味わって下さい。
これは<やきものの器>と同じと考えてみてください。
最終の制作工程、仕上げの絵付け段階で700℃程度で窯で焼成されています。ゆえに、日焼けでお凝る温度変化程度では何ら変質いたしません。
割れないかぎり、永遠に美しさをとどめています。


③レースドールのお手入れ方法を教えて下さい。
通常のお手入れは引っかかりのないダスターで埃をはらって下さい。
汚れがひどくなりましたら、ぜひ『洗って』みて下さい!
浴室の平らな所に人形を置き、上から優しくシャワーを浴びせて下さい。汚れのひどい場合、中性洗剤をかけてからシャワーすると有効です。
そのまま、天日干しで2日間以上、自然乾燥させます。必ず、充分に乾燥させて下さい(カビの原因になることがあります)。
ただし、レースの部分には決して触らないで下さい。


④レースドールは陶器ですか?
陶磁器・やきものの一種ですが、陶器ではなく『磁器』です。
陶磁器の分類について語ると長くなりますので、<陶器と磁器の違い>を簡単に説明します。
同じやきものでも『陶器は土(つち)もの』『磁器は石(いし)もの』といわれる所以は、その材料に違いがあります。
『土もの』は自然に存在する粘土(地中の粘土層)を原材料にしますが、『石もの』は陶石と呼ばれる鉱物(長石、けい石、カオリンなど)を配合して作られたものを材料とします、その配合は人間の発明品なのです。
材料の違いは、やきものとして焼成をかけたのちに特徴的に表れます。
『陶器』をたたくと鈍い音。『磁器』はたたくと金属性のような高い音がします。これは磁器にガラスの成分である鉱物が入っているためです。
また、『磁器』の素材は白く緻密で滑らか、そして光りを透す(光透性)特徴があります。
レースドールはまさにそれらの『磁器』の特徴をいかした製品であるのです。


⑤レースドールはマイセンで作られていたのですか?
マイセンで『レースドールの技術(レースに泥漿を染込ませて焼成)を用いてフィギュリン(陶磁器人形)を製作していた』という事実はありません。残念ながら(?)
たしかに1700年代後半はマイセンのフィギュリンの最盛期で需要に応えるべくして、現代にも残るような素晴らしい作品の数々が作られました。
時代・文化の影響を受けて貴族の様子など、ロココ調のフィギュリンは作られたので、ドレス姿やモチーフの作品はありますが、いわゆるレースドールの技術は用いられてはいません。マイセン美術館(ドイツ/マイセン)の中にも繊細なドレスの姿の作品が飾られているのですが、あくまでも一般のフィギュリンの技術を超えてはいません。